はじめに

6月に公表された金融庁の報告書が「老後資金2,000万円不足問題」として、大きな波紋を呼んだことは記憶に新しいかと思います。
夫婦の老後生活30年において公的年金などの
社会保障給付だけでは2,000万円も不足するという試算に、衝撃を受けた方も多かったようです。
今回はそんな老後資金を形成するにあたってどのような制度や方法があるのかを書いていきます!
老後の資産運用、どんな方法や制度があるの?

自分で貯金するだけではなかなかお金を貯めるのが難しい場合は、さまざまな資産運用を用いることができます。
ここではその手法と、それぞれのメリット・デメリットをご紹介します。
個人拠出年金
年金の一種。
毎月一定額を積み立てていき60歳以降に受給するという
公的年金や国民年金と同じ仕組みです。
~公的年金や国民年金と異なる点~
・毎月支払う資金を運用
・掛金も月ごとに上乗せすることが可能
運用結果によって老後に受け取れる金額が増減します。
企業型と個人型があり、個人型はiDeCoとも呼ばれます。
企業型の場合はすでに加入している場合もありますから、一度確認してみましょう。
メリット・デメリット
【メリット】
・税制優遇があること
積立時…「全額所得控除」
運用時…「運用益非課税」
受取時…「退職所得控除」または「公的年金等控除」
という税制優遇が受けられます。
【デメリット】
・元本割れの可能性がある
・原則60歳まで引き出せないことに注意が必要
積み立てNISA
つみたてNISAとは、2018年から始まった制度です。
特に少額からの長期・積立・分散投資を支援するための非課税制度です。
対象商品は、手数料が低水準、頻繁に分配金が支払われないなど、長期・積立・分散投資に適した公募株式投資信託と上場株式投資信託(ETF)に限定されています。
非課税投資枠は、毎年40万円を上限とし最長20年間、最大800万円までの
投資から得た譲渡益、配当等が非課税となります。

メリット・デメリット
【メリット】
・非課税期間が20年間と長く、長期運用が可能
・お金が必要になったタイミングでいつでも換金できる(流動性がある)
・最大のメリット
投資によって得られた売却益(譲渡益)や分配金の運用益が非課税になる点。
日本では、投資から得られた利益に対して、通常20.315%の税金がかかります。
しかし積み立てNISAの場合これがゼロになります。
【デメリット】
・元本割れの可能性がある
・損失が出ても他の口座で発生した利益との損益通算はできない
・損失の繰越控除(3年間)ができない点
・投資対象が「投資信託のみ」
※NISA口座には「積み立てNISA」以外にも「一般NISA」と「ジュニアNISA」があります。
それぞれの仕組みの違いは別記事でご案内します。
個人年金保険
個人年金は保険の一種です。
預貯金と同じ感覚で積み立てて、公的年金と同じように老後に一定額を受け取ることができます。
メリット・デメリット
【メリット】
・積立金額よりも多い金額を受け取れる
(商品やその時の経済状況により例外あり)
【デメリット】
・途中解約すると元本割れしてしまう場合がある
投資・資産運用を始める前に考えるべき重要なこと

上記でご紹介した資産運用の方法や制度は運用成果次第ではありますが、
貯蓄や銀行預金と比べ高いリターンを期待できます。
ただし、その分元本割れする可能性もあります。
なので、預貯金などの他の手段と組み合わせて、資産全体でバランスをとることが重要です。
また、老後の資産を考える上で大切なのは、
自分が老後どのような生活をしたいのかということを先に考えておくことです。
自分のライフスタイルや現在の家計から計算して、
まずはぼんやりとでもいいので老後をイメージしてみましょう。
すると、最低限いくらぐらい貯めておけば安心できるのかがわかります。
現在の収入でどのくらい金銭的な余裕が生まれるのかがわかると
投資に費やしていい額がわかります。
今の生活の収入と支出のバランスを把握したうえで、
少額から投資をスタートして、計画的に資産運用を行うのが失敗しないコツです。
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